水俣のことや、水俣とびわ湖のつながりのことなどを一歩深く知りたい、という方に向け、「はじめの一歩」になりそうな本や情報をご紹介します。
物販が可能な会場では一部の書籍の販売も行う予定です。
《書籍》
『みな、やっとの思いで坂をのぼる 水俣病患者相談のいま』
永野三智(水俣病センター相思社) 著
出版社:ころから
発行年:2018年
四六変形判 248ページ
「水俣病はもう終わった」…そう思われた2018年。今まで声をあげられなかった患者たちの思い、患者へどう向き合えばいいかという職員の葛藤が詰まった相談録。
「水俣病センター相思社」には、いまも新たな患者が訪ねてくる。「水俣病と認められたい」「でも、認められたくない」との相反する思いに揺れる人びとと膝をまじえてきた。その不安、苦しみ、迷いを伝える。
■水俣病の「いま」を知る一冊
著者の永野三智さんは水俣病センター相思社の職員で、映画「水俣曼荼羅」にもたびたび登場されます。
本著では、相思社に相談に訪れる方々お一人お一人が長年抱えてこられた身体の不調や心の悩みが、永野さんの目と耳と心を通じてリアルに伝わってきます。
冒頭に綴られた、永野さんの幼少時代を振り返ってのエピソードも強い印象を残します。
文字も大きく読みやすく、水俣病の「いま」を実感するのに最適の一冊だと思います。下記の音声配信でも、永野さんのインタビューと一部の朗読をお聞きいただけます。(実行委員 村上 悟)
※つい最近放送されたこちらの番組でも、今年5月1日生じた「マイクオフ問題」についてのお話とともに、この本について触れられています。(7月4日追記)
『細谷卓爾の軌跡 水俣から琵琶湖』
関根英爾 著
出版社:サンライズ出版
発行年:2021年
四六判 330ページ
チッソ守山工場に着任した当時の細谷はチッソが抱える問題、水俣病の事を知らなかった。そのことに大きなショックを受け、各地の公害問題や労働災害の支援に動く。
「水俣病の問題は僕にとってはずっと教師のような存在です。水俣の問題がなければ僕は琵琶湖の問題にそれほど取り組まなかったかもしれない」といい、やがて「社会の福祉化、福祉の社会化が必要」と、生協運動に取り組む。
保守地盤が強い滋賀県で、労働団体が共闘して革新知事、武村正義誕生を実現させた、環境滋賀の立役者でもある。武村正義に「野の人です。政治の友である」といわせる細谷卓爾の足跡を克明に詳述し、その思想の淵源を探る。
■琵琶湖と水俣のつながりを知る一冊
1977年、琵琶湖での赤潮発生を機に「せっけん運動」が大きく盛り上がり、全国の注目を浴びました。
当時や想いや人のつながりは、今も滋賀の住民による環境自治の基盤になっているように思います。この運動を担ったキーパーソンのお一人、細谷卓爾さんの歩みを綴った一冊です。
滋賀と水俣のつながりと、運動の思想にふれることのできる一冊です。下記の拙文でも冒頭で、細谷さんのエピソードを綴っています。(実行委員 村上 悟)
「琵琶湖と水俣ー地域を超えて時代を超えてー」村上 悟(水俣病センター相思社 機関紙「ごんずい」165号 寄稿、2022年5月)(PDF 1.0MB)※相思社の許可を得て期間限定公開 |
《記事・映像》
記事 公害の原点の70年 水俣病 公式確認きっかけの少女はいま
NHK熊本WEB特集 クマガジン 2023年05月22日
水俣病「公式確認」の最初のお一人であり、映画「水俣曼荼羅」にも登場される、田中実子さんの現在と歩みを紹介した記事。
さいごのほうに、8月24日のあかね文化ホールでの上映会と8月25日の会でお話をしてくださる予定の伊東紀美代さんのコメントも紹介されています。
また、他の関連記事に紹介されている佐藤英樹さんや谷洋一さんなども、映画に登場される方々です。
(※今後も追加していきたいと思います)