みっけ!水俣∞びわ湖~映画「水俣曼荼羅」滋賀連続上映会と特別イベント~

ごあいさつ

■はじめに

公式サイトへ訪問いただき、ありがとうございます。

このたび、『みっけ!水俣∞びわ湖~映画「水俣曼荼羅」滋賀連続上映会と特別イベント〜』と題し、2024年6月1日(土)~9月1日(日)の3か月間、下記の5つのイベントを県内各地で行います。

〔1〕上映会(7か所)・トーク ・おはなし会&交流会「わたしと水俣」
 8/3高島朽木会場と8/4大津会場では、原一男監督トーク
 8/24東近江・あかね文化ホールでのトーク
  語り手 伊東紀美代さん(水俣病互助会事務局/NPO法人水俣病協働センター理事)
  聞き手 藤井絢子さん(元 滋賀県環境生活協同組合 理事長)のトーク
 8/25 おはなし会&交流会「わたしと水俣」@野間清六邸(しみんふくし滋賀本部事務所)
  上記、伊東さんと藤井さんのお話と交流会
〔2〕写真展(長浜7/1~7/14のみ)
〔3〕パネル展(6か所)
〔4〕水俣産グルメキャンペーン(滋賀・京都)
〔5〕#みっけ水俣びわ湖 ハッシュタグキャンペーン(SNS)

水俣病は、人々が毎日の暮らしの中で食べていた魚や貝などが、チッソ株式会社の工場排水に含まれていたメチル水銀で汚染されたことによって引き起こされた、メチル水銀中毒です。伝染病ではなく、遺伝することもありませんが、汚染された魚を食べた母親の胎盤を通じてメチル水銀におかされた方々が胎児性水俣病として出生され、今も多くの症状を抱えながら暮らされています。

水俣病が公式確認された1956年(昭和31年)5月1日以前から、漁村では様々な異変が起きていました。工場排水が原因であることが多くの人の目に明らかだったにもかかわらず、汚染と被害の拡大を止められなかったのは何故か?公式認定から68年を迎えたいまでも現存する偏見や差別。被害の救済を求める裁判の長期化。加齢に伴う症状悪化と今後の発症への不安。不知火海(八代海)沿岸で居住歴がある方が離れた地で暮らす中での発症。精神的にも肉体的にも苦しむ方々が大勢いらっしゃる事実…。これらをはじめ、様々なことを知り、考える必要があります。

この企画の願いは、なんらかの“出会いや再発見=みっけ!”が生まれることです。
企画をしている私たちもまだまだ、みっけ!したいと思っています。

映画「水俣曼荼羅」はドキュメンタリー映画監督の原一男氏が20年の歳月をかけて完成させた372分(6時間12分)の作品です。水俣病をめぐる人々の生活、学術研究、裁判の様子、一人ひとりの存在、喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、現実の一端が描かれています。見る側に様々な感情をもたらす映画です。三部構成で、2回の休憩を挟んでご覧いただきます。

写真家二人による『辻田新也×森田具海 写真展「琵琶湖と水俣湾 祈りの光景」』では、琵琶湖と水俣湾の風景に出会えます。パネル展「水俣病と琵琶湖」では、水俣病歴史考証館からお借りしたパネルを中心に、水俣病事件のこと、水俣病と琵琶湖の関係、水俣や滋賀での取り組みをご紹介します。

水俣産グルメキャンペーンは、水俣周辺の海や陸の恵みを味わう機会です。ハッシュタグキャンペーンでは、SNSで「このイベントについて」「わたしの水俣」「わたしの琵琶湖」への想いなどを投稿いただき、様々な方の「水俣」「琵琶湖」に触れる機会としたいと思います 。

つい目を背けがちになることも、それが何故おきているかをさぐり、自らの存在を否定するのではなく、どうすれば生活が、世の中が、よりよくできるのかを共に考えたいと思います。人権侵害や環境問題、貧困、紛争や戦争に命が脅かされない世界に向けて、半歩でも歩める土壌をつくりたい、と。

最後になりましたが、今回、さまざまな方々や団体にご協力いただき、開催の運びとなりました。ここに感謝いたしますとともに、新しい関わりや動きが広がっていくことを願っています。

みっけ!水俣∞びわ湖実行委員会 発起人一同
〔大藤寛子(代表)、村上悟、藤田知丈、長岡野亜〕

■発起人からのメッセージ

村上 悟

特定非営利活動法人碧いびわ湖 代表理事
みっけ!水俣∞びわ湖実行委員会 事務局

ぼくが初めて水俣の海を訪ねたのは、二年前の春。目に映る水俣の空と海は、碧く澄み渡っていた。思わず漏らした。「水俣の海って、こんなに色鮮やかだったんだ」と。

ぼくらの探究心を妨げるのは、「自分はもう知っている。わかっている」という思い込みだ。水俣病は水俣という町でおきた。チッソという会社がおこした。原因物質は有機水銀…。ぼくはそれらを知っていた。でもぼくは知らなかった。水俣がどんな町かを。不知火はどんな海かを。被害を受けられた方々お一人お一人のお名前を。どんな暮らしをされ、どんな想いを抱き、人生を歩んでこられたのかを。

水俣を少しずつ知っていく中で、気づいたことがある。それは、たまたま「水俣」病であり、たまたま「有機水銀」だった、ということだ。もしかすると、ぼくが生まれ育った余呉、あるいは今暮らしている日野で、別の物質を原因とした「余呉病」や「日野病」が起きていたかもしれないし、琵琶湖全体で「琵琶湖病」が起きていたかもしれない。今だって、知らずに何かが起きているかもしれないし、今後、起きる可能性がないとは言い切れない。

水俣と滋賀、当時の社会と現代の社会は地続きだ。だから水俣を見つめることは、滋賀を見つめなおすことであり、当時の社会を見つめることは、現代の社会を見つめなおすことだと思う。

負の事実と向き合うには、エネルギーが要る。だけれど、得られるものもある。それは、未来に向かう光だ。闇に向き合うことで見出される、強く明るく温かい光。その光をぼくは水俣で感じたし、水俣病事件と向き合ってきた人々の多くも、感じているように思う。

だからぼくは、あなたにも、一歩を踏み出し、手を伸ばし、水俣に触れてみてほしい。あなたの中で動き出す大切ななにかが、きっとある。

ちなみに、滋賀から水俣への道中は、片道おおよそ6時間弱だ。映画「水俣曼荼羅」の6時間という上映時間は、一般的な映画に比べればたしかに長い。だがスクリーン上での水俣旅行だと思えば、片道分の時間にすぎないとも言える。上映は盛夏の折でもある。避暑も兼ね、会場のお席でご乗車いただければうれしい。まだ知らない水俣が、あなたを待っている。

※参考 「琵琶湖と水俣ー地域を超えて時代を超えてー」村上 悟
(水俣病センター相思社 機関紙「ごんずい」165号 寄稿、2022年5月)※相思社の許可を得て期間限定公開
─ 私から見た琵琶湖と水俣のつながりについて綴っています。併せてお読みいただければ幸いです


藤田知丈

暮らシフト研究所 代表/ヴィーガンカフェMAGATANIA 店主
おうみ未来塾 運営委員
NPO法人碧いびわ湖 理事
みっけ!水俣∞びわ湖実行委員

『水俣曼荼羅』の原一男監督とその愛弟子である長岡野亜プロデューサーには、約15年前から数年間、近江八幡で開催した一連の市民映画づくりワークショップでご指導いただきました。地元のお年寄りが伝えたいことを市民が聞き取り撮影したオムニバス映画「結い魂」(2011)、地元小中学生と原監督がガチで向き合った子ども映画づくりワークショップ作品「タイムカプセル・アドベンチャー」(2007)、そして長岡さんが地域の伝承文化を1年半かけて撮影してくださった「ほんがら」(2008)と、都合3本の作品を世に送り出すことができ、そのことは今も私の糧になっています。

その当時から、原監督たちは水俣に足繁く通っておられました(私も、感覚検査のデータをグラフで見せるシーンづくりをちょこっとだけお手伝いさせてもらいました)。その水俣の映画がようやく完成したと聞き、ぜひ滋賀で自主上映をと思っていたところ、長岡さんを通じて大藤寛子さんからお声かけいただき、碧いびわ湖の村上さんもお誘いして、実行委員会の原型が立ち上がりました。以来、オンライン会議を頻繁に重ね、実に多くの方々の共感・ご支援・ご協力を得ながら、いつの間にか単なる自主上映会の域を超え、ひとつの「運動」とも言えるような展開を見せ、今に至っています。

映画『水俣曼荼羅』は、水俣病の歴史を学ぶ映画ではなく、原監督が撮影を始めた20年前から現在に至るまでの、水俣病の被害者やその関係者、支援者、研究者といった「人」にフォーカスし、一人一人の「喜怒哀楽」を丹念に追い続けたヒューマンドラマです。テレビの報道ドキュメンタリー番組のようなジャーナリズム作品ではなく、観る人の心を揺さぶるエンターテインメント作品です。だからこそ、登場人物一人一人が抱えるやり場のない怒り、絶望、苦悩、また家族愛、使命感、恋心、幸福感などが、スクリーンから全身にダイレクトに伝わってきます。

裁判の結果に一喜一憂する被害者団体、頑なに姿勢を変えない(変えられない)行政・企業側。それぞれの思惑や事情が複雑に交錯し、なかなか対立の構図から抜け出せない現実を、私たちはどう受け止めたらいいのか。その捉え方は人それぞれだと思いますが、スピリチュアルな世界では、ここ数年で約250年続いた「土の時代」が終わり、「風の時代」が到来しつつあると言われています。物質主義・支配・権威・競争など、急速な発展の代償に心に重くのしかかるものも多かった時代を抜け出し、情報・融合・つながりといった精神的なエネルギーが軽やかに世界を形づくっていく時代へ。そんな大きな変化の中だからこそ、私たちにできることといえば、勇気をもって「赦す」こと、「信じる」こと、「祈る」こと。それらを声に出して「発信」し、「伝える」こと。…そんなことを考えていたら、写真展を担ってくれている2人の若い写真家が「写真展のテーマを『祈り』にしたい」と言ってくれて、「あぁ、なるほど、これが風の時代なんだ」と合点がいき、幸せな気持ちになりました。

皆さんにも、この機会に映画『水俣曼荼羅』を観て、写真展やパネル展も観て、水俣のおいしいものを食べ、感じたことをSNSで伝えて、水俣やびわ湖はもちろん、日本や世界のこれからに、共に思いを重ねていただけることを信じて、祈っています。

■開催体制

●主催

みっけ!水俣∞びわ湖実行委員会
〔発起人:大藤寛子(代表)、村上悟、藤田知丈、長岡野亜〕

●共催

NPO法人愛のまちエコ倶楽部・特定非営利活動法人碧いびわ湖・宮前舎・暮らシフト研究所・特定非営利活動法人BRAH=art.・まかぬたねプロジェクト

●後援

滋賀県・大津市教育委員会(大津上映会、パネル展)・高島市 & 高島市教育委員会(高島上映会)・東近江市・日野町・米原市・一般社団法人滋賀グリーン活動ネットワーク・マザーレイクゴールズ推進委員会

●協力

株式会社安全農産供給センター・稲森愛子(ロゴデザイン)・からたち・サンライズ出版株式会社・疾走プロダクション・社会福祉法人しみんふくし滋賀・大門信也・生活クラブ生活協同組合・HikU・浜大津シネマ・一般社団法人水俣病センター相思社・よつ葉近江産直センター・株式会社よつ葉ホームデリバリー京滋

●協賛

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テーマの著者 Anders Norén