休眠預金活用事業「あらゆる子どもの育ちを保障する地域総動」活動紹介
● 事業の概要
既存の学校教育になじめない子どもたちの不登校や自尊心の低下、保護者の孤立などが、滋賀県内でも大きな問題となっています。
特定非営利活動法人碧いびわ湖は、公益財団東近江三方よし基金とコンソーシアム「びわ湖・三方よしローカルコモンズ」を組成し、2023〜2025年度の3年間、休眠預金活用事業「あらゆる子どもの育ちを保障する地域総動」の資金分配団体として活動をしています。
本事業の目標は、「あらゆる子ども・若者が、安心し、自信をもち、自由に育ち学ぶことができる社会」です。
6つの「実行団体」の活動への資金支援と非資金支援、ならびに対話・研修会の開催、情報発信、資金循環の仕組みづくりなどを通じ、学校になじめない子どもと保護者をとりまく周囲の人々のまなざしを変え、関わりをはぐくむことに取り組みます。
そして、あらゆる子ども・若者が、学校と家庭以外にも理解者と居場所を持ち、豊かな体験と学びができる地域社会の醸成をすすめています。
● 休眠預金活用事業とは?
10 年以上 入出金等が確認できない預金等を活用して民間公益活動を促進し、社会課題の解決に資することを目的とする事業です(「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(休眠預金等活用法)」にもとづいて実施されています)。
主な目的は(1)既存の制度の狭間で困難を抱えている人たちの抱える課題の解決を図ること(2)民間公益活動の担い手を育成するとともに、民間公益活動に必要な資金が調達できる環境を整備することです。
「実行団体」の活動を「資金分配団体」が資金面・非資金面の両面で伴走支援し、目標の実現を目指します。
●子どもの育ちと学びを支える地域総動
本事業では、学校や家庭をとりまく地域の人々の理解や協力を促進することで、子ども・若者の育ちと学びの環境を豊かにすることに取り組みます。
不登校の背景には、学校教育のシステムの問題があることは自明です。しかし同時に、核家族化、中小事業者の減少、地域コミュニティの希薄化により、子どもたちが学校と保護者以外で、自分を見守り応援してくれる大人と出会う機会が乏しくなっています。
加えて、子どもは学校に行くものであるとの固定観念を持った人も多く、子どもの人権に関する認識も行き渡っていないため、保護者もまた孤立を深めがちです。
そこで、本事業では、フリースクールなど、子どもの育ちと学びの場の保障に取り組む団体が、子どもと保護者の支援を行うとともに、保護者同士のつながりや、地域の人々の理解と関わりの促進を行うこと、そして学校や行政関係者との対話を通じて子どもと保護者の置かれた状況を改善することを支援しています。
●活動の内容
実行団体への資金支援と伴走支援
6つの実行団体に資金支援を行うとともに、月に1回の面談を通じて各団体の課題を把握し、その解決のためのさまざまな活動(知見の提供、活動の提案、実務のサポート等)、さまざまな形での非資金支援を行っています。
支援を行っている団体とその事業概要は下記のとおりです。
特定非営利活動法人 フリースクールてだのふあ
事業名 | 地域に根ざした子どもたちの「居場所」を創設する 〜地域コミュニティーとしてのフリースクールをめざして〜 |
所在地 | 滋賀県彦根市 |
一般社団法人 日野里山フリースクール
事業名 | 自然体験と生活体験で、地域と繋がり生きる力を身につけられる学びの場づくり ~子どもたちが地域の宝として、自分らしく育っていけるまちへ~ |
所在地 | 滋賀県日野町 |
スキニシー学校
事業名 | 遊びによる学びを中心としたフリースクールと地域づくり 〜子どもの非認知能力を高める公教育と地域をつくる〜 |
所在地 | 滋賀県栗東市 |
一般社団法人 異才ネットワーク
事業名 | 多様な特性をもつ子ども・若者が好きや得意を中心に地域や世界とつながる居場所と活動の創出 〜アートやカフェ活動を通じた社会参加で多様性を認め合える地域をつくる〜 |
所在地 | 滋賀県大津市 |
一般社団法人 ぐるり
事業名 | 自分で選び、自分の人生を生きる力を育むオンラインコミュニティ 〜地域総働でひとりひとりの”生きる”を守る〜 |
所在地 | 滋賀県東近江市 |
特定非営利活動法人 竜王子育てネットワーク
事業名 | 竜王の子どもの育ちを豊かに!! ~あらゆる子どもと地域がつながり、つむぐ町づくり事業~ |
所在地 | 滋賀県竜王町 |
全県を対象とした非資金支援
実行団体への個別支援と並行し、実行団体同士の交流会や共同学習会の開催、公開の学習会の開催、子どもの育ちや学びを保障する地域総動に関する情報発信(音声配信やWEBサイト)、活動を持続発展させるための資金循環の仕組みづくりなどを、計画し、実施しています。
事業の評価
休眠預金活用事業では、おのおのの実行団体・資金分配団体が、事業の仮説や目標を書き込んだロジックモデルを作成し、それに基づいて活動を行っています。適宜、達成状況を確認するとともに、事業の仮説も絶えず見直しを行い、必要に応じて計画の修正も行います。
本事業では、評価プロセスに3人の専門家に参画いただき、評価指標の設定や評価実施の手法をはじめ、事業仮説の検討なども含めて、多くの助言をいただいています。
評価チームメンバー(敬称略)
・西垣 順子(国際基幹教育機構 教授)
・武井 哲郎(立命館大学 経済学部 准教授)
・伊田 勝憲(立命館大学 教職研究科 教授)
本事業の詳細は、休眠預金活用事業情報公開サイトに掲載されています。