レポート[Class03]第2回講義

ほっこりカフェ朴にて

てらすくらすClass03 “私たち×公共の方程式”の第2回講義を、12月1日に、ほっこりカフェ朴にて行いました。
こちらのページでは、参加者からのレポートをご紹介します。

> 谷口嘉之さんから
> 中谷志野舞さんから
> 根木山恒平さんから
写真左)宗野隆俊さん

Report

Class03 “私たち×公共の方程式” 第2回講義 2017.12.1@ほっこりカフェ朴

朴さんのあたたかな空間にて

レポート(谷口嘉之さんから)
今回のテラスクラスでは「遠くなる自治」をテーマとし、上越市の市町村合併に伴う地域協議会の事例が取り上げられた。
合併により旧町村が解散し役場や議会がなくなる一方で、自治体規模は大きくなり、市民の身近にある地域課題をどう取り上げ、解決していくかということが問題となる。これに対し、「自治体内分権」という考え方があり、合併により大きくなった市のなかに小さな規模の区域を設定して、その区域内に意思決定する機関を置く仕組みがつくられている。2004年の地方自治法の改正で規定された「地域自治区」がそれに当たり、上越市では現在28の「地域自治区」が設けられ、それぞれに「地域協議会」が組織されている。
ここでいつものモヤモヤが私の頭の中に発生する。行政の仕組みとしては手薄になった地域社会の課題をこの「地域協議会」で拾い上げることになっているが、市民サイドからはどう見えているのか?「地域協議会」は国の法律に基づき、市が条例で設置した組織である。まだまだ一般市民からは遠く、自分たちの組織と認識はされるレベルではないだろう。個人と「地域協議会」の間に、更に小規模でインフォーマルなグループが必要ではないだろうか。ここの接点が大切である。それは従来、市への意見や要望を取りまとめてきた自治会のような地縁団体だけでなく、テーマ別に活動されている市民団体との関係をどう築くかということも検討すべきではないだろうか。

特製スープをあたためる薪ストーブ

 

レポート(中谷志野舞さんから)

この夏に開催された、てらすくらすサマースクールで宗野先生のプロフィールを見て驚いた。フィールドワーク先の一つとして記載されていた新潟県上越市というのは、私が育った場所だったからだ。結婚を機に滋賀県にやって来て以来、上越市出身というと、東北だっけ?(全国的には新潟県は関東甲信越地方の括り)や、雪多くて大変やね〜など比較的ネガティブな印象を受ける実感が度々あった、そんな地味な地元に注目されるとは、一体どういうことなのか?との好奇心から受講した宗野クラス。第二回目講義で市町村合併の成功事例として、全国でも取り上げられている!という上越市の事例を聞き、驚いた。
実は私、合併前の旧上越市役所で働いていて、合併は当時の市長時代に決まったものの、滋賀に来たことでその後の上越市の動向をまったく知らなかった。当時の市長は国際環境規格ISO14001を市政に導入するなど市政改革を前面に出す一方、急進的なやり方がワンマンと反発を生み、市役所内では市長派と反市長派が対立するなどの混乱があった。その後マスコミも巻き込んだスキャンダルもあり、直後の市長選で新しく当選した市長のもとで実行された1市6町7村の大型合併のその後を知らないまま、時が過ぎていた。
2004年に地方自治法が改正され、市町村のなかに地域自治区を設け(202条4)、地域自治区には地域協議会を置く(202条5)、この地域自治区と地域協議会を上越市は全国初で導入し、2005年の合併から2017年の現在も継続させているという。驚いた。合併前の市政の混乱の印象しかなかったから、合併後もさぞや大変だろう、と勝手に思っていた。
地域協議会とは市長の諮問機関、という位置づけで市長からの諮問について審議・答申するだけでなく諮問を受けていないことであっても自ら必要と考えることを審議し、市長に意見を提出する、すなわち自由審議の権限も有するという。驚いた。つまり住民の声が直接市長に届く仕組みになっているのだ。しかも市側から言われたことだけこなすだけではなく、自分たちにとって直近で緊急性の高い問題(例としてこどもセンターの開園時間の延長があげられていた)を行政のトップである市長に直接届けることもできるという。
自分の暮らす自治体で市長と住民が直接意見をやり取りするなんて聞いたことがないので(市議とのタウンミーティングのような企画はあるが。しかし、それも年に1回)、地域協議会がいかに先進的な取組みかが分かる。
ちなみにこの地域協議会、市長の諮問機関のため市長の一存でその存続が決まるらしいのだが、合併後13年経過してもまだ存続しているということは、一定の成果を上げているということで、地域によっては協議員の選任(4年毎)時に定数オーバーになり、落選する応募者もあったという。地域の特徴(過疎化の進む旧町村区域では協議委員の応募者は減少傾向。ニュータウン開発の進む新市街地や観光地化に熱心な旧市区域では増加傾向など)が数字に表れるのも興味深い。
地域の問題を解決するというと、まず自治会(町内会)が思い浮かぶ。今年、わが家は地元自治会の副会長を努めているのだが(もちろん自主的にやっているのでは無く、順番が回ってきた、しかも役職も既に決定済み、という超消極的理由です)、一年間自治会に関わってみての感想は、自治会は役員の決定から行事などあらゆる執行を慣例どおりにやることに至上命題を置いている、でした。それに比べると地域協議委員は自主応募(定員割れの場合、推薦もあるらしいが)、しかも協議会は月1回以上開催され、仕事を持ちながらの場合、負担に感じることもあるはず。でもそんなデメリットも吹き飛ばす意義が地域協議会にはあるのだろうと思う。
ちなみに私の住む東近江市には、この地域協議会に似たような機能を持つと思われる「まちづくり協議会」なるものが存在するのだが、イベント中心のまちおこし企画や委託事業(施設管理)が多い印象。
http://www.city.higashiomi.shiga.jp/cmsfiles/contents/0000004/4885/28syokai.pdf
また構成員も市民団体やNPO、自治会などであり、既存の団体に所属していないと参加はなかなかハードルが高そう。中には構成員は住民全員(!)と表記している地区もあり、実際の住民の感覚とはかなりかけ離れている印象を持つ。まちづくり協議会自体の位置づけも曖昧であり、市長の諮問機関と明記されている地域協議会との違いを感じた。
もちろん地域の歴史や特徴は一概にまとめられるものではなく、どちらがいいという単純な問題ではないのだが、住民にとって最も身近な地域社会の窓口である自治会が年功序列、輪番制、半強制的加入と高額な自治会費の納入、生産性の無い議論と行事で形骸化し、今や死に体なのははっきりしている。それでもかろうじて存続しているのは、惣村や宮座の風習が強く残る滋賀県の風土も強く関係していると思う。しかし、伝統的な家や村を守る若い世代が減少し、新しくやって来た新規の住民が増えている現在、過去の貯金でつないで暮らしていくことは、近い将来にきっと破綻するのが目に見えている。誰もが暮らしの意思決定に関われる、身近な地域社会に関わる選択肢を増やすことは、わたしたちにとって急務であると思う。
ちなみに上越市の地域協議員は20代、30代も活躍しているという。機会があれば、そういう方たちにお会いし、話を聞いてみたいと考えている。

 

レポート(根木山恒平さんから)

※準備中

京大農薬ゼミの省農薬みかん

活発な意見交換がありました