レポート[Class01]第4回講義

Class01 “経済学のめがねで現代をみる”の第4回講義を行いました。今回は、第3回までの受講者の様子も踏まえ、当初、最終回に予定していた「自由討論」を前倒しして、事前に受講者から出していただいた疑問に応える形で、ディスカッションを中心に行いました。このページでは、これまでにつづき、参加者からのレポート、ダイジェスト動画を含めて講義の様子をご紹介します。

> 北岡晴道さんから
> 高木あゆみさんから
> ダイジェストムービー
> 講義用スライドより

Report

Class01 “経済学のめがねで現代をみる” 第4回講義「自由討論(受講者からの疑問に応えて)」 2017.7.13


レポート(北岡晴道さんから)

今回は、後半の30分からしか参加することが出来ませんでしたが途中から参加してもとても引き込まれる話でした。
その中でもあまり経済には関係してないかも知れませんが二大政党制になった場合におこる悪い点についてのお話しが興味深かったです!
でも、あまり経済がそれに関係ないように見えても実はかなり関係しているのが経済なのかもしれません。
経済について学べば学ぶほど奥深いと思いました。 晴道


レポート(高木あゆみさんから)

最初に宣言しておこう。
私はストーリーテリングが驚くほどに苦手である。どうしても、得た情報をわかりやすく客観的視点で順序立てて説明するということができない。私にできることは、得た情報から感じたこと、つまりは完全なる主観からの考察を綴ることのみである。あくまでも私自身のメガネで見た世界を私の言葉で語る。その点を了承した上で読んでほしい。

今回のてらすくらすは、自由討論形式。事前に参加者から募ったテーマを主軸に、質疑応答を随時挟みながら進んでいった。大まかなテーマは3つ。
1つ目は、「経済成長ってなに?私たちとどんな関係があるの?」
2つ目は、「生産性があがってるのに、いつまで働かないといけないの?(富の分配について)」
3つ目は、「金融緩和とインフレと経済成長と暮らしぶりとの関係について」

お察しの通り、その答えは残念ながらこのレポートには登場しない。
いくつか気になった点をピックアップしたいと思う。
まずは、経済成長について。正直に言うと、私は全く(国全体の)経済成長というものに興味がない。1ミリも、ない。ピンと来ない。しかしながら、毎回の選挙の結果やメディアを見ている限り、どうやら経済成長を世の中は求めているらしい、人々にとって何かキラキラと輝く存在であるらしい、というのは感じてきた。
それがなぜなのか今までずっと分からなかった。それが今回、参加者の「バブルが再来して欲しいと言うおじさんたちがいる」という発言でようやく少し分かった気がする。国が経済成長することがイコールバブルなのか、はよくわからないが、「経済成長を求める」という風潮は、国が経済的に栄えている明確なイメージを持っている人、そしてその時代にきっといい思いをした人がまだまだたくさんいるということの象徴、とも言えるのだろう。(もちろんこの理由が全てではない。)

もう一つは、「”(経済的側面からすると)生産しない立場の人たち”の作る市場」について。
例えば、”子ども”という存在は経済的側面からすると、決して生産はしていない。その生産しない人たちにどこまで投資できるか、の方がむしろ国力が現れるような気がしてきた。(言葉としては不適切な響きではあるけれど。)余裕がなければないほど、どんどんひたすら効率性を重視、その結果排除の方向に向かうので、経済成長は、GDP(国内総生産)で測るのではなく、その「生産しない人たち」にいかに希望を持ち、そして経済的に見ると”投資”をできるかというところではかった方がむしろ健全な気がする。気がすると言うだけで、まだ私の中で、明確な答えはない。ただ、ここに何かこれからの経済の・もしくは豊かさのヒントがあるような気がするので、考えがまとまっていないが、あえて挙げておくことにする。

そしてもう1つが、「どれくらい成長したら安定するのか」について。
参加者からの質問の一つだったのだが、この質問にはかなりハッとさせられた。ひたすら闇雲に「成長!とにかく成長がいいのだ!」となっているイメージがあり、”経済成長”というものが雲のような決して掴むことのできない実体のないもので、まるで底なしのブラックホールのような欲が潜んでいるような気がしていたのに、底なしの欲に”底”を作る、という発想が全く自分の中にはなかったのだ。そして、その安定の目安は意外と出されていないらしい。経済学者の方々に是非とも真剣に取り組んで指標を作って欲しい。1つでなくてもいい。多様な価値観に溢れかえっている世の中ではあるので、もしかしたら地域ごとに指標があれば面白いのかもしれない。都会での消費型社会と、田舎での自給自足に近い社会に求められる経済成長?はおそらく異なるはずで、必ずしも同じものを目指す必要もないはずだ。それがどう成り立つのか、さっぱりわからないが。もしそんな指標があれば、もしくは、できれば、それこそてらすくらすのような場でその読み方を教えて欲しい。

こちらの話に関連するかもしれないが、「GDPを減らした幸せ・豊かさ」の提示ができたら、という話も挙がった。そして実際にその動きはもう始まっていると言えるだろう。昨今の「田舎暮らし」「移住」ブームがそれにあたる。そう、ブームになっているのだ。できるだけお金を使わない、お金に頼らない暮らしが。それが可能であるという具体的な事例がメディアによって取り上げられている。それによって都会に集中していた人口が、どんどん地方に分散し始めている。滋賀でいうと、長浜市は今年度10人もの地域おこし協力隊を採用している。
田舎暮らしや移住は”ブーム”になっているため、おそらくその熱はどこかの地点でまた収束の方向には向かうことが予測はされる。しかしそれでも、世の中は確実にその方向に向かっている。
GDPを減らした幸せ・豊かさのヒントは、私たちの住む滋賀にも溢れているはずだ。そのことに私たち自身がアンテナを張り、もしくは”めがね”をかけて周りを見渡し、自らの手で発信をしていく人が今後増えていけば、きっとゆっくりではあるが、世の中を、経済を、価値観を動かすことになるのではないだろうか。

ダイジェストムービー



講義用スライド紹介

「フローとストック」
⇒経済成長とは、なにか?と考えたときに、この説明は、とてもわかりやすかったですね。「フロー」とは「流れ」ということ。「ストック」は「たまっている」ということ。蛇口とバスタブのイラストがイメージを喚起してくれてわかりやすいです。

⇒つまり、経済成長をあらわす代表的な指標であるGDPは、フロー(流れ)なんですね。毎年、1年間にどのくらいの量が蛇口から流れこんでいるか、ということ。

⇒そして、あまりふだんイメージすること少ないかもしれませんが、ストックとは、私たちのくらしの中や、社会に過去からこれまでに蓄積してきたものです。まさに、バスタブにたまっているお湯の量のようなもの。

⇒私たちは、ついつい、蛇口から流れでる量に注目しがちですが、実際には、すでにバスタブにたまっているお湯の量が多いのか、少ないのか、どういう質のお湯なのか、によって、私たちのくらしぶりは左右されます。

GDPの構成要素に関するスライド。このほかにも2つの式があるそです。「三面等価の原則」という言葉も紹介されていました。

⇒例えば、講義で中野先生が紹介されていたのが、ヨーロッパによくある数百年前からある石のおうちの話。まさにストックですね。そういうものが社会の中にたくさんあり、過剰なコストをかけずに人びとが住めるなら、結果的に、フロー(経済成長)は小さくなりますが、くらしぶりとしては、すこぶる良いものであると言えます。

⇒受講者からも「経済成長しないといけない」と思い込まされてきたけど、フローとストックの話を聞いて、イメージが変化したという声が聞かれました。

(スタッフ・ねぎやま記)